4月末で廃止する制服を着用した従業員(右)と、私服を着用した従業員=9日、鹿児島市の山形屋
鹿児島市の山形屋は、百貨店とギフトショップ、サテライトショップで働く全従業員の制服を4月末で廃止する。多様性への対応と働きやすさの向上を図る目的で、2024年11月から移行期間に入り、既に多くの従業員がTPO(時、場所、状況)に合わせた私服で働いている。
鹿児島・宮崎19店舗の約530人が対象。従来は男性はスーツにネクタイ、女性はブラウスにスカートといった制服だった。女性の販売員や案内係などの4種類を無料で貸し出していた。5月以降は性別に関わらず、スーツを基本としたシンプルな私服となる。
立ち座りする作業や運転がしにくいといった声があり、24年4月から各部署でヒアリングを実施。野口祐一人事部長(56)は「大手をはじめ、九州内の百貨店でも私服化が進んでいる。従業員が生き生きと働ける環境づくりでサービス向上につなげたい」と話す。
山形屋によると、制服は少なくとも1950年代後半からはあった。エレベーター係や販売員らをはじめ、7〜8回は一新してきたという。
入社31年目の行船孝子さん(48)は「業務内容に合わせ服を選べるのはいいが、制服に憧れ就職したのでさみしい」、パンツスーツに切り替えた森百香さん(50)は「仕事の前後に着替えがなく効率的。接客や催事の準備でも動きやすい」と笑顔を見せた。
山形屋は現在、経営再建へ向けた事業再生計画に取り組む。制服廃止は計画に含まれてはいないが、「年間発注数の30〜40着は減るので、結果的に費用削減につながる」としている。