また現金給付なのか?…県内自治体、職員の事務負担を懸念 「やはり選挙対策だろう」いぶかる声も

2025/04/12 06:03
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 長引く物価高やトランプ米政権の関税政策への対策として、与党内で全国民を対象とした現金給付案が浮上している。夏の参院選も見据え議席増に向けた“特効薬”を打ち出す構えだが、鹿児島県内の自治体関係者からは効果の持続性を疑問視する声や、事務負担への懸念も聞かれる。

 徳之島町の高岡秀規町長は、物価高や関税問題の影響は今後も続くことが予想されるとし、「一時的に現金を給付しても効果の持続性は乏しい」と指摘する。離島のガソリン価格や物価の高騰は深刻さを増し、「ガソリン減税や地方創生予算の増額など他の政策に振り向けた方がいい。コメそのものを配るより、コメの作り方を教える施策に予算を投じて」と訴える。

 南さつま市の本坊輝雄市長は現金給付は「即効性はある」とした上で、「実施するなら各自治体に任せてほしい」と主張する。同市は新型コロナウイルス禍から1万円分を1000円で買える「10倍商品券」を販売しており、財源にしたい考え。「市内だけで使える商品券なら地元にしっかり還元でき、生活を支えられる。減税に比べても効果を実感しやすい」と強調した。

 現場では職員の事務負担への不安も高まる。ある県内自治体は過去の給付事業の際、各部署から職員を集め専従体制を作り対応してきた。今は低所得者を対象とした物価高対策の給付手続きも進めており、業務量が一層増す可能性がある。幹部は「給付は住民にとっては良いことで早く届けたいが、職員負担は重い。個人的には、所得に関わらず一律に配って効果があるかも疑問」と語る。

 別の自治体幹部はこぼす。「物価高騰やトランプ関税の影響を緩和するためなら、他の方法があると思う。現金給付は、やはり選挙対策だろう」

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