「豚熱ウイルス侵入くいとめろ」 県境・都城で野生イノシシから感染確認 捕獲検査を倍増、鹿児島県が緊急防疫会議

2025/04/12 20:43
豚熱ウイルス侵入防止対策徹底を確認した鹿児島県の緊急防疫対策会議=12日、県庁
豚熱ウイルス侵入防止対策徹底を確認した鹿児島県の緊急防疫対策会議=12日、県庁
 宮崎県都城市で死んだ野生イノシシから豚熱(CSF)感染が確認されたことを受け、鹿児島県は12日、緊急防疫対策会議を県庁で開いた。JA県経済連や県畜産協会などから約30人が出席。生産者へウイルス侵入防止対策の徹底を改めて求めるとともに、野生イノシシ対象の検査を増やし監視を強めることを発表した。

 都城市では9日、用水路で雄幼獣の死骸が見つかり、11日に国の検査で陽性が確定した。宮崎県によると、親子で行動していた可能性がある。発見地点から半径10キロ圏内の「感染確認区域」に鹿児島県は含まれていないものの、会議では「ウイルスは既に県内へ侵入している可能性もある」として警戒を呼びかけた。

 県は対策として、生産者に飼養衛生管理の徹底を再指導するほか、狩猟者や県民にまん延を防ぐための衛生対策を周知。7月までの約4カ月間は、これまで月30頭が目安だった野生イノシシの捕獲検査を60頭へ倍増する。

 県家畜防疫対策課によると、県内養豚のワクチン接種率は100%。ただ接種による免疫付与は個体差があり、接種後に感染するケースもある。同課の藏薗光輝課長は「ワクチンだけでは不十分。危機感を持ち、ウイルス侵入阻止へ万全を期してほしい」と訴えた。

 国は12日、豚熱経口ワクチンの散布範囲などを決めるため都城市で現地調査を実施した。鹿児島県によると、県内の経口ワクチン散布候補地は2024年10月までに千カ所を選定済み。今後、散布を想定した演習も検討する。

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