〈資料写真〉豚にワクチンを接種する様子=2023年9月、鹿児島県提供
鹿児島県に隣接する都城市で、死んだ野生イノシシから豚熱(CSF)感染が確認されました。豚熱の特徴や養豚業者への影響、まん延防止へ向けて私たちができることなど、国や鹿児島県に取材してまとめました。
Q 豚熱(CSF)はどのような病気ですか。
A ブタやイノシシが感染する家畜伝染病です。以前は「豚コレラ」と呼ばれていました。感染力が強く、致死率が高いことが特徴です。家畜伝染病予防法では、感染が発生した農場の家畜は全て殺処分するよう規定しています。
Q 人にも感染しますか。
A 人には感染しません。感染した豚肉が市場に出回ることはなく、仮に感染した豚肉を食べても、人体に影響はありません。
Q 豚熱の国内発生状況は。
A 2018年9月に岐阜県で26年ぶりに発生して以降、養豚では24都県で計98事例が発生し、約43万頭が殺処分されました(7日現在)。イノシシは39都府県で8434頭(2日現在)が確認されています。
Q 豚熱感染を防ぐ対策は。
A イノシシなどの野生動物を養豚場に近づけず、ウイルスを侵入させないことが重要です。侵入防護柵や防鳥ネットの再点検、畜舎に入る前の手指や車両の消毒、畜舎ごとの専用長靴の設置など、家畜の所有者が「飼養衛生管理基準」に従った行動を取ることが求められています。
Q 豚熱ワクチンの効果は。
A 適切に接種すれば発症を防げますが、免疫を獲得しないブタも一定数います。鹿児島県では免疫付与率80%を目標にしています。
Q 豚熱ウイルスの拡散防止のために県民ができることは。
A 豚熱ウイルスを山林から持ち帰らないことが大切です。具体的には(1)靴の泥は山で落とす(2)イノシシを誘引しないために、残った飲食物は持ち帰る(3)家畜のいる施設には近寄らない(4)イノシシの死骸を見たら管轄の自治体に連絡する-ことが挙げられます。
(鹿児島県への取材や農林水産省ホームページから)