夜間のハイリスク分娩の拠点が消える…いまきいれ総合病院、8月から出産対応を休止 少子化で運営困難、医師確保も見通せず

2025/04/16 06:00
24時間体制で新生児を見守るNICU=鹿児島市のいまきいれ総合病院
24時間体制で新生児を見守るNICU=鹿児島市のいまきいれ総合病院
 鹿児島市のいまきいれ総合病院は15日、8月から出産への対応を休止するとホームページで発表した。急速な少子化で診療体制や運営の維持が難しく、産科の常勤医師確保の見通しが立たないため。婦人科も8月から来年3月まで外来診療のみとする。

 同院によると、現在通院中で8月以降に出産予定の妊婦には、近隣の産婦人科を紹介するという。

 同院の2024年の分べん取り扱い数は101件。少子化が進み、18年に比べ約50件減少した。加えて常勤医の確保が難しく、高い安全管理コストも要するなど診療体制や産科運営の維持が課題になっていた。

 分べん再開の見通しは立っていない。病院を運営する公益社団法人昭和会の今給黎和幸理事長(55)は「苦渋の決断。医師やスタッフの確保、採算性など再開へのハードルは高い」と話した。

 同院によると現在、夜間にハイリスク分べんの帝王切開に対応しているのは、主に鹿児島市立病院と同院の2施設。8月以降、複数の事例が重なったときの対応が危惧される。

 さらに、同院は県から地域周産期母子医療センターの認定を受けている。新生児集中治療室(NICU)を備え、鹿児島市立病院、鹿児島大学病院と共に、県内のハイリスクの新生児医療の中核を担っている。

 今給黎理事長は「公益性の高い医療であるため、病床の再編などを行い、NICUの継続にはこだわっていきたい」と話した。

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