鹿児島県内の義務教育未修了者数
国の号令で近年、全国で夜間中学の設置が進み、今春までに32都道府県で62校が開校した。鹿児島県内では、義務教育の未修了者は約1万8000人に上るほか、不登校の児童生徒も増え続けている。識者は、二つの半島に分かれ離島が多い地理的特性を踏まえ、夜間中増設の必要性を指摘する。
2016年に教育機会確保法が成立し、国は少なくとも各都道府県・指定都市に1校は設置するよう促した。鹿児島県教育委員会と市町村教委は22年夏にニーズ調査を行い、有識者委員会での協議を経て、県が鹿児島市に設置することが決まった。
20年の国勢調査で、県内では学校にまったく通ったことがないなどの「未就学」が1307人、小学校卒が1万6671人いることが分かった。県教委などによるニーズ調査では、136人が入学を希望。その居住地は、大隅地域や離島を含め県内全域に上ったが、いろは中の新入生19人のうち、約8割が鹿児島市在住だ。
全国では、9都府県が既に複数の夜間中を設置する。豊岡短期大(兵庫県)の肥後耕生准教授=肝付町在住、社会教育生涯学習=は基礎教育保障学会で、県内の義務教育未修了者を20年の国勢調査から算出し分析した。
「県土は広大で、夜間中に通いたくても交通手段がないなどの理由でかなわない状況が予想される」と指摘し、「学びの機会を保障していくため、県と市町村教委の連携による夜間中の増設や、民間による自主夜間中の開設が必要だ」と提言した。