信号機のない横断歩道、停車せず歩行妨害 県内2500件を摘発 24年、停車率4割は九州ワースト

2025/04/24 06:03
横断しようとする歩行者がいるのに、一時停止しない車=15日午後、鹿児島市下荒田3丁目(画像の一部を加工しています)
横断しようとする歩行者がいるのに、一時停止しない車=15日午後、鹿児島市下荒田3丁目(画像の一部を加工しています)
 信号機のない横断歩道で一時停止を怠る車が鹿児島県内で後を絶たない。2024年、県警は横断歩行者を妨害したとして、道交法違反容疑で2553件摘発した。日本自動車連盟(JAF)の調査では鹿児島の停車率は39.6%で九州ワースト。県警は「取り締まりを強化する。横断歩道を通過する際は、あらかじめ歩行者の有無を確認する意識を持って」と呼びかけている。

 道交法は、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合、車に一時停止を義務付ける。横断歩道に差しかかる際、横断者がいないことが明らかな場合を除き、いつでも停止できる速度で走行しなければならない。

 JAFは24年8月、全国の信号機のない横断歩道2カ所で調査。職員が1カ所につき50回横断し、停車率を調べた。鹿児島支部の江原諒さん(36)によると、鹿児島では横断者から見て遠い車線ほど止まらない車が多かった。「歩行者優先の意識が低い。啓発活動が急務」と指摘する。

 実際に車は止まらないのか。4月15日夕方、鹿児島市下荒田3丁目の信号機のない横断歩道では、歩行者を横目に乗用車やトラックが次々と通過した。近くには八幡小学校があり、車の切れ目に急ぎ足で渡る親子連れの姿も見られた。

 鹿児島中央署は同日、八幡小の児童の下校時刻に合わせ、街頭指導を実施。正門前の信号機のない横断歩道では、署員が車を一時停止させ、児童を誘導した。「まずは左右確認。運転手と目を合わせてから、手を挙げて渡って」と教えた。

 県警によると、24年に信号機のない横断歩道で起きた事故は41件(前年比10件減)。うち36件は車が一時停止を怠っていた。横断歩行者を妨害したとする摘発件数は、同年までの5年平均で約2200件に上る。

 県警交通部の後迫克章管理官は「信号機のない横断歩道では、歩行者が横断するかどうかはっきりしない場合もある。歩行者と意思疎通できるよう、慎重な運転を心がけてほしい」とドライバーに訴えている。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >