会見するJR九州の古宮洋二社長=25日、福岡市
2020年7月豪雨で被災し、復旧見通しが立っていないJR肥薩線の「山線」と呼ばれる人吉(熊本県)-吉松(湧水町)間について、JR九州の古宮洋二社長は25日の定例会見で、今後想定される検討会議では、「川線」の八代(熊本県)-人吉間と同様に「費用負担の在り方を議論したい」との考えを示した。
熊本県とJRは3月末に川線の33年度ごろの再開で最終合意。復旧費229億円の9割を国と熊本県が負担するほか、再開後は熊本県と関係自治体が鉄道施設を管理し、JRが運行を担う「上下分離方式」を採用する。山線は被災箇所も少なく復旧費は6億円。
山線の検討会議には、JRと鹿児島、宮崎、熊本3県などが参加予定で、3知事は「鉄道復旧」で一致している。古宮社長は被災前の山線の年間営業赤字が2億7000万円だったことに触れ、「当社が復旧し運行していく線路なのか。出口を決めず議論していきたい」とけん制した。
山線の沿線自治体からは、これまでも先行復旧の要望があった。古宮社長は山線の先行再開については「ない」と述べ、「利用者のほとんどが川線から通過している」と説明。復旧自体が未定とした上で「川線が再開しないとできない」と話した。