広がれ観光のバリアフリー 奄美群島で官民挙げて「ユニバーサルツーリズム」推進、5つのモデルコースを動画と冊子でPR

2025/04/27 06:00
ユニバーサルツーリズムのモデルコースを紹介する冊子(左)と屋久島、奄美大島・徳之島の世界自然遺産を取り上げたガイドブック=奄美市の県大島支庁
ユニバーサルツーリズムのモデルコースを紹介する冊子(左)と屋久島、奄美大島・徳之島の世界自然遺産を取り上げたガイドブック=奄美市の県大島支庁
 鹿児島県大島支庁は、奄美群島の観光事業者らと連携し、年齢や障害に関係なく旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」に力を入れている。3月までに奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の5つのモデルコースを紹介する動画と冊子を作成。観光のバリアフリー化を進め、奄美群島への誘客につなげたい考えだ。

 2020年度から事業者らと取り組む。24年度は5島で研修を実施。延べ約100人が参加し、車いす利用者の街歩きやマリンスポーツ体験の支援方法、会話を文字起こしするアプリの活用などを学んだ。

 観光庁の「心のバリアフリー認定」の申請も支援。バリアフリー対応や情報発信に積極的に取り組むとして奄美群島で認定された施設は24年度末で13件で、前年度より7件増えた。

 モデルコースは、スロープやバリアフリートイレがある景勝地・あやまる岬(奄美市)、干潮時のみ現れる百合ケ浜(与論町)のツアーを車いす利用者が楽しむ様子、生物の多様性を体感できる徳之島世界遺産センター(徳之島町)など。動画は12~15分で、YouTube県公式チャンネルで視聴できる。冊子はB5判15ページ。群島内の観光施設などで無料配布する。

 24年の奄美群島への入り込み客数は、前年から1万7975人増の84万1213人。過去最多だった19年の94%と、コロナ禍から回復傾向にある。同支庁総務企画課の谷本美恵子課長は「誰もが奄美群島の独特の文化や自然を楽しめるようにして、入り込み客数を更新したい」と意気込む。

 支庁は、屋久島と奄美大島・徳之島の世界自然遺産などを紹介するガイドブック(A5判30ページ)も1万部作製した。谷本課長は「二つの世界自然遺産があるのは国内で鹿児島だけ。同時に楽しんでもらえたら」と呼びかける。

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