まるでモノクロ写真…超緻密なボルトとナットを描いた鉛筆画と大森浩平さん=鹿児島市の長島美術館
岡山市在住の鉛筆画家、大森浩平さん(30)の作品展が鹿児島市の長島美術館で開かれている。九州では初の開催。腕時計や水道の蛇口、スニーカーなどをモチーフにした鉛筆画15点は、まるでモノクロ写真のように精巧に描かれている。
大森さんは2017年にボルトとナットを描いた「UNTITLED’17」を発表。濃さの違うHから4Bの7種の鉛筆を使い分け、金属の表情と水滴の光沢をグラデーションで表現した。280時間に及ぶ制作過程が交流サイト(SNS)で公開されると国内外で反響を呼んだ。
スマートフォンで撮影した題材の写真を緻密に再現。その質感が見る人に伝わるように構図や光の当て方に注意を払う。金属製のティーポットは、鏡のような輝きだけでなく、撮影する姿が映り込む様子まで描かれており、細やかな技術に圧倒される。
3年前、大森さんは物事を突き詰める性格が災いして一時引退宣言をするまでに。現在は自分のペースを保つことで再び鉛筆を持つ。「作品を見た人の反応やコメントが励みになる。作品を自由に見て生きる原動力にしてもらえたら」と大森さんは話した。
5月18日まで。一般800円、中学生300円、小学生以下無料。問い合わせは西郷企画=090(8228)3229。