イメージ
新年度が始まり約1カ月。就職や進学、異動で環境が変化した人も多いだろう。新しい環境でストレスを蓄積しがちなこの時期、多いのが「五月病」だ。特に5月の大型連休明けに、心身の調子を崩す人が少なくない。鹿児島大学病院神経科精神科講師の福原竜治医師に、ストレス対処法や気を付けるべき点などを聞いた。
五月病は正式な診断名ではないが、4月ごろ環境の変化に適応することが難しくなり、連休明けに心身にさまざまな不調が表れる状態を指す。放っておくと、適応障害やうつ病に進行する恐れもあり、早期発見と適切な対処が重要だ。
福原医師はよく見られる症状として、(1)意欲の低下や気分の落ち込み(2)睡眠障害(不眠・過眠)(3)食欲の変化(減退・過食)(4)倦怠(けんたい)感や集中力の低下(5)胃痛や頭痛などの身体症状-を挙げる。「このような症状は、適応障害やうつの入り口の可能性もある。不調のまま頑張ろうとすると、悪化する場合もある」と指摘する。
どのような人がなりやすいのだろうか。福原医師は「真面目で責任感が強く、頑張り過ぎてしまう人に多い」と話す。周囲には相談しづらいと感じている人や、完璧主義だったり他人に気を使い過ぎたりする人が当てはまる。いずれも、ストレスを真面目に受け止めて、心の疲労に気付くのが遅れやすい傾向があるという。
予兆は、生活の中に小さな形で現れる。楽しかったことが楽しめない、興味が持てない、ささいなことで不安感が続いたり涙が出たり-。「自分でも見逃しがちだが、このような変化が現れたら注意してほしい」と福原医師。
対処法として、ストレス解消につながる小さな楽しみや運動を意識的に取り入れることを提案する。お気に入りのカフェに行ったり、散歩などの軽い運動をしたり、ちょっとした気分転換がストレスを和らげるという。
福原医師は「頑張り過ぎないでいい。完璧を目指し過ぎないのも肝心だ」と強調する。家族や友人など信頼できる人に相談するのもいい。「誰かに話すだけでも、気持ちは軽くなる」
連休中は、生活リズムを崩さないのがポイント。起床や就寝の時間を大きく変えずに、自分に合った複数の解消法を持つことも大切だ。「五月病は心の疲労反応。気分の不調が2週間以上続いたり、日常生活に支障が出たりする場合は、専門機関への相談を検討して」とアドバイスした。