南日本新聞社は3日の憲法記念日を前に、憲法問題に関する意識調査を鹿児島県民に実施した。憲法改正が必要と答えた人は61.0%で前年より4.8ポイント減った。改正は必要ないとした人は、昨年より3.1ポイント増えて30.7%だった。9条見直しは賛成が49.2%で、反対の39.6%を9.6ポイント上回った。改憲を必要とする理由は「時代に合わなくなっている」が最も多かった。
石破茂首相は「9条2項削除と国防軍明記」を持論としているが、岸田文雄前首相在任中に自民党がまとめた論点整理に沿って、自衛隊明記と緊急事態条項を優先事項とする考えを表明している。ただ昨年の衆院選で改憲勢力が減少し、実現には立憲民主党の協力が欠かせなくなっている。
改憲の必要性は「ある」35.9%、「どちらかといえばある」25.1%、「どちらかといえばない」18.3%、「ない」12.4%、「どちらともいえない」5.8%、「分からない」2.5%だった。
改憲が必要な理由は、「規定が時代に合わなくなっている」が最多の64.6%。「占領下に米国主導で制定されたから」17.8%、「新たな権利や義務を盛り込む必要がある」13.4%だった。
改憲の必要がないとする理由は、「平和主義と戦争放棄を掲げているから」が63.2%で、「今の憲法で不都合なところはない」19.6%、「解釈次第で情勢の変化に対応できる」14.0%と続いた。
戦争放棄と戦力不保持をうたう9条の見直しは「賛成」31.2%、「どちらかといえば賛成」18.0%、「どちらかといえば反対」18.3%、「反対」21.3%、「どちらともいえない」7.4%、「分からない」3.7%だった。
憲法見直しの議論で優先すべき事柄は「国会や選挙制度」26.3%、「憲法9条」24.7%、「緊急事態条項」13.6%だった。
調査は4月19、20日に行い、1042人の回答を得た。南日本新聞社は2007年以降、毎年4月に憲法に関する県民の意識を調査している。
▽調査の方法=鹿児島県内の18歳以上を対象に4月19、20の両日、固定電話と携帯電話に、コンピューターで無作為に発生させた番号をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。自動音声応答通話(オートコール)方式を採用。携帯電話で同意した人にはショートメッセージサービス(SMS)を使い質問に答えてもらった。1042人の回答を得た。性別の内訳は男性686人、女性339人、答えない17人。