海江田順三郎さん=2022年6月、鹿児島市
鹿児島県日中友好協会名誉会長で、女性向けファッションビル「タカプラ」を運営した高島屋開発(鹿児島市)の元社長、海江田順三郎(かいえだ・じゅんさぶろう)さんが5日午前10時17分、肺炎のため鹿児島市の病院で死去した。97歳。通夜は6日午後6時、葬儀・告別式は7日午前11時から、いずれも鹿児島市大竜町10の2、吉田葬祭典礼会館新世館で仏式で行われる。喪主は妻事子(ことこ)さん。
鹿児島市出身。1953年、京都大学経済学部卒業。東京の百貨店勤務を経て高島屋開発の前身・大見高島屋に入った。百貨店からテナント業に転換した高島屋開発で93〜2007年に社長を務め、タカプラ運営に尽力した。海江田さんの前任で創業家の犬伏康夫さんは義兄。
戦時中は長崎県佐世保市に勤労動員され、帰省中の1945年に鹿児島大空襲に遭遇。陸軍航空士官学校入学前に終戦を迎えた。機会を捉えて戦争体験を伝え平和への思いを語った。
80年代以降は鹿児島市と友好都市の中国・長沙市などとの交流に情熱を傾け、県と市の日中友好協会の会長を長く務めた。2014年、終戦前後の混乱時に幼い残留邦人を引き取って育てた中国人養父母に感謝する碑の建立では主導的役割を果たした。日中関係が悪化するたびに草の根交流と相互理解の大切さを説いた。今年3月まで各種会合に出席するなど精力的に活動していた。
ノーベル物理学賞を受賞した故赤崎勇さん(南九州市知覧出身)は旧制鹿児島二中(現甲南高校)の同級生で親交が深かった。鹿児島市教育委員長、鹿児島経済同友会副代表幹事なども歴任した。