シュートを狙う鹿児島レブナイズのハームス。圧倒的な高さを武器にチームをけん引した=3月、西原商会アリーナ
8季ぶりにBリーグ2部(B2)の舞台に帰ってきた鹿児島レブナイズが躍進した。西地区2位でプレーオフに進出した強さの要因と、ファンを急速に拡大しているクラブの取り組みや将来像を探る。
昨季B3から昇格したレブナイズには明確な課題があった。ゴール下の攻防での「高さ不足」。相手に高身長の外国人選手がいた場合、劣勢を強いられることが多かった。白羽の矢が立ち加入したのがハームスだった。
オランダ代表経験のある身長221センチの大型センターは早速チームを活性化。1試合平均2.2本でリーグ1位のブロックなど高さを生かしたプレーでゴール下に君臨した。
開幕直後、強豪の福岡やB3時代に一度も勝てなかった福井に連勝。「ハームスの加入で攻守に軸が通った」とガード森田は存在感の大きさを口にする。
同じく今季加入の兒玉も豊富なB2経験を生かし司令塔として活躍。長身で複数ポジションをこなせる飴谷や駒水、伴馬らも加わり戦力は厚みを増した。
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カレロ監督は就任した昨季から「タイムシェア」を掲げ、ベンチ入り12人をフル活用してきた。「Bリーグは週末に2試合連戦する点が難しい」と1人の出場時間を1試合40分の中で25分程度に調整。出場する間はハイペースのプレスを徹底させた。効果は、終盤の逆転勝ちの多さや連戦2試合目の勝率の高さに表れた。
途中加入したエニスと井上以外の11選手が全60試合のうち56試合以上に出場。特定の選手に出場が偏らなかった分、負傷のリスクを最小限に抑えることができた。カレロ監督は「トレーナーやコーチの素晴らしい仕事がなければ成功はなかった」と振り返る。
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個人成績で上位に名を連ねる選手はレブナイズにほとんどいない。B1経験がある信州や富山、西地区1位の福岡などは「個」の能力も高く、選手層の厚さを見せつけられた。
今季のレブナイズのチーム強化費は2億円を超える程度で、昨季のB2平均約3億円と比べ少ない。東地区1位を独走したA千葉は昨季で7億円超。レブナイズがプレーオフ準々決勝で敗れた信州もB1だった昨季は5億円近かった。
篠原滋GMは「全員が役割を果たしてくれた」と評価し、来季以降の目標を「最低でもプレーオフに進出し続けるレベルを維持したい」と定める。「愚直に前へ進む戦い方を続けることで鹿児島のバスケ文化の礎になれば」と先を見据えた。