奄美大島南方海域で米軍戦闘機の迎撃に遭い撃墜される日本海軍偵察機「彩雲」=1945年4月30日(豊の国宇佐市塾提供)
太平洋戦争中の米軍撮影映像を解析している大分県宇佐市の市民団体「豊の国宇佐市塾」(平田崇英塾頭)は10日、戦後80年の今年2回目となる映像公開を同市の教覚寺で行った。米海軍がフィリピンで初めて映像で記録した日本海軍の航空機特攻や、攻撃直後の米空母艦上の凄惨(せいさん)な様子が紹介された。
1944(昭和19)年10月、フィリピン戦を前に、日本海軍は航空戦力の不足を補う策として、搭乗員が爆弾を抱いた航空機もろとも敵艦に体当たりする「十死零生」の特攻戦術を編み出した。
公開されたのは、同年10月25日から29日にかけて、フィリピン沖で特攻機3機が米空母に突入する瞬間。随伴する米艦船上から手持ちカメラで撮影された。特に10月25日に撮影された空母「スワニー」に第1神風特別攻撃隊菊水隊の1機が突入する様子は、米軍により記録された初の特攻映像という。
同年10月29日、特攻攻撃後の空母「イントレピッド」艦上で、戦死した同僚の収容や水葬に当たる乗組員の様子をとらえた映像もある。
映像解析に当たる織田祐輔さん(38)は「半年後の沖縄戦に比べ、対空砲火も少なく、米軍が対処し切れていない様子がうかがえる」と話した。
映像は17日まで南日本新聞ホームページで視聴できる。同日、塾が開く「宇佐航空隊平和ウオーク」の中で一般公開される。