「多国間主義と平和外交が重要」と語る宮路拓馬氏=東京・永田町の衆院第1議員会館
自民党の宮路拓馬衆院議員(45)=比例九州=は外務副大臣に就いて半年がたった。トランプ米政権の高関税政策などで国際情勢が大きく変化する中、外交戦略の重要性は一段と高まる。「東南アジアとの関係強化が重要」と語る宮路氏に現状や展望などを聞いた。
-13日で半年を迎えた。
「就任早々、韓国で非常戒厳による混乱があった。北朝鮮は核開発やミサイル技術の高度化を図り、中国は南シナ海や台湾海峡で力による現状変更を試みている。厳しく複雑な安全保障環境を実感している」
-印象深い仕事は。
「最初の外遊がオーストリアであった国際原子力機関の閣僚会議で、福島第1原発処理水の海洋放出に伴う中国の禁輸解禁に向けて協力を求めた。2014年に初当選した時の最大の政治的テーマが九州電力川内原発の再稼働だったこともあり、特別な思いがある」
-アジア・大洋州や中南米を担当している。
「アジア諸国やカリブ海諸国と話をするにしても、米国や中国との関係抜きには語れない。日米関係が外交安全保障の主軸だが、トランプ氏の再登板で環境は変わってきている。不確実性の高い時代だからこそ、『平和外交』『多国間主義』の継続が大事だ」
「地理的に近い東南アジアとの関係強化が重要になる。石破首相は今年最初の外遊先にマレーシア、インドネシアを選び、大型連休中はフィリピン、ベトナムを歴訪した。自身も3月に初めてベトナムを訪れた。外務次官との面会は3度目で人間関係が築けている」
-鹿児島選出の議員として意識していることは。
「農業産出額が全国2位で輸出も堅調に伸びている鹿児島にとって、東南アジアは将来性のある市場だ。折に触れ、黒牛や焼酎などの県産品をPRしている」
-米政権の高関税政策で世界が混乱している。
「東南アジア諸国を米国から離反させるというベクトルに働きかねない。このことはトランプ氏にしっかり伝えなければならない。外交は相手がいる世界。中国の禁輸にしても、粘り強く交渉を続けるしかない」
-北朝鮮による日本人拉致問題にどう取り組むか。
「被害者のきょうだい世代も高齢化しているが、北朝鮮とはなかなか対話ができない状況。2月の日米首脳会談ではトランプ氏から拉致問題について積極的に言及があった。タイミングを逃さぬよう力を尽くす」