備蓄米「行き届いているのか」…県内販売1カ月、いまだ入荷のない店も 限定的な放出効果に拭えない不足感、値下がりも見通せず

2025/05/15 21:17
入荷した備蓄米を米売り場に並べる従業員=14日、鹿児島市のAコープ桜ケ丘店
入荷した備蓄米を米売り場に並べる従業員=14日、鹿児島市のAコープ桜ケ丘店
 政府が放出した備蓄米の販売が、鹿児島県内で始まってから約1カ月が経過した。全国のスーパーのコメ価格は18週ぶりに値下がりに転じたものの、県内では十分に流通しているとはいえず、入荷がない小売店や消費者からは「鹿児島まで行き届いているのか」との声も上がる。放出効果は依然として限定的で、値下がりはしばらく見通せそうにない。

 14日、鹿児島市のAコープ桜ケ丘店の米売り場には、複数の国産米がブレンドされた備蓄米(3758円)が並んだ。4月中旬から販売を開始。定期的に入荷があり、現在は毎日100~150袋(5キロ)ほどを店頭に出す。前野研二店長(47)は「売り切れる日もあるが、安定的に提供できるようになった」と話す。

 同店で、よく購入するという近くの会社員男性(69)は「味も通常のコメと比べて問題ない」。ただ価格は1年前と比べ2倍近いまま。「精米などに手間がかかるなら玄米の状態でもいいので早く流通させて、少しでも安くして」と要望した。

 政府は、十分な量が行き渡らず通常のコメ価格も下がらないため、新米が出回る夏ごろまでの毎月放出を決め、4月下旬に3回目の入札を実施した。今月2日には、放出分の大半を落札している全国農業協同組合連合会(JA全農)に対し、迅速な供給を求めた。

 JA全農を通し備蓄米を確保するJA県経済連では、グループ会社の鹿児島パールライス(鹿児島市)で精米し、大部分はAコープなどの系列店に卸す。以前から取引のある県内量販店約10社にも一部納品する。現在流通しているものは、3月中旬に行われた1回目の落札分という。

 パールライスと取引があっても備蓄米が行き届かないスーパーもある。入荷担当の40代男性社員は「コメ不足が表面化した昨夏以降、店側からの発注には制限がかかっている」とため息をつく。備蓄米の入荷は週100袋ほどあるが、ブレンド品より人気の単一商品はすぐに品切れる。追加発注や入荷時期の選択などはできず、不足感は根強い。

 備蓄米が一度も入荷しない店も多い。同市のある店舗は、通常のコメを週に約20袋入荷、全国平均より300円ほど高い4500円前後で販売する。男性社員は「入荷予定日に納品されないこともある。JA系列店以外はしばらく品薄は解消しないだろうし、価格も下げられる状況にない」と話した。

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