「日中交流の先頭に立つ」と語る森山裕衆院議員=東京・永田町の自民党本部
自民党の森山裕幹事長(衆院鹿児島4区)は4月下旬、超党派の日中友好議員連盟の会長に就任後初めて中国を訪問した。日中関係の発展に向け、「対話と交流」を強調した森山氏に訪中の成果などを聞いた。
-議連としては昨年8月以来の訪中だった。
「(中国共産党序列3位の)趙楽際・全国人民代表大会常務委員長と会談し、政治レベルの対話と交流を強化していく重要性を確認できたことは有意義だった。直接の対話と交流の重要性を改めて実感した」
-現在の日中関係は。
「戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていくというのが日本の方針。中国側とも認識を共有している。政府間、政党間で意思疎通を深め、太いチャンネルを有しておくことが有益だ」
「訪中では、中国側の日本産水産物や牛肉の輸入再開について、早期の成果が出ることを期待すると伝えた。課題と懸案を減らし、日中関係が発展して良かったと両国の国民が思えるような環境につなげたい」
-牛肉の輸入再開は肉用牛産出額トップの鹿児島県にとっても追い風になる。
「趙委員長からは関係部門の間で前向きなやりとりが行われていると紹介があった。中国の指導者に直接働きかけた意義は大きい。目に見える成果が早期に示されることを期待する」
-中国人民対外友好協会にはジャイアントパンダの貸与を要請した。飼育先として平川動物公園(鹿児島市)の可能性は。
「昔は鹿児島にどうかという話もあったが、なかなか難しい。コアラもいる」
-日中国交正常化から50年余りが経過する。
「政治の師で、日中関係の井戸を掘った二階堂進先生によれば、国交正常化のため訪中した田中角栄首相と周恩来首相は『小異を残して大同につこう』と語っておられた。バトンを託されたわれわれが粘り強く対話と交流を継続し、次の世代につないでいく」
「国民の互いに対する印象は必ずしも理想的とはいえない状況で、相互理解を深める努力が必要だ。日中交流の先頭に立ち、相互往来の促進に力を尽くす」
-昨年夏、栄誉市民である中国湖南省の長沙市を十数年ぶりに訪問した。
「つながりは40年以上前にさかのぼる。鹿児島市議会議長だった時、長沙市との間で友好都市締結の調印式があった。鹿児島は中国大陸に近く、鑑真和上や遣唐使船など歴史的・文化的に深い関係を有する」
「長沙市の無人農場を視察し、ドローンやAIなどを利用した農業の技術力に驚いた。人口減少下における日本も農業生産の維持・発展は大きな課題。スマート農業を推し進め、農作業の効率化や経営管理の合理化を図ることは重要だ。党としても、政府、民間の取り組みを後押しする」
-中国に対する思いは。
「中国ゆかりの『疾風に勁草(けいそう)を知る』という言葉を大事にしている。激しい風が吹いて初めて強い草を見分けることができるとの意味で、困難なときこそ真価が問われることを表す。この言葉を胸に全力で議連会長の任に当たる」