育児や家事を無償サポート ひとり親世帯にありがたい「家庭生活指導員」が足りない…10年近くで8割減、利用断るケースも 鹿児島県内

2025/05/24 17:01
支援員の講習を受ける受講生ら=2月、奄美市(県母子寡婦福祉連合会提供)
支援員の講習を受ける受講生ら=2月、奄美市(県母子寡婦福祉連合会提供)
 ひとり親世帯の子どもを無料で預かる「ひとり親家庭等日常生活支援事業」。鹿児島県内で世話をする家庭生活支援員のなり手不足が続いている。支援員の高齢化を背景に、事業が成り立たず利用申し込みを断るケースもある。関係団体は支援員の募集を呼びかけている。

 「子どもを預ける場所がないので、本当に助かっている」。奄美市で小学生や園児3人を育てるシングルマザー(44)は胸をなで下ろす。

 3年前に夫を亡くし、生計を立てようと正社員で介護職に就いた。保育園や学童保育が休みの土曜・祝日も仕事が入る。末っ子はまだ4歳。悩んでいたとき、同市母子寡婦福祉会から事業を紹介された。

 弁当や着替えなどを持たせ、支援員宅で約9時間、3人を無料で預かってもらう。事業のおかげで、介護福祉士の資格取得のための研修にも参加できた。「安心して仕事もできる。スキルアップを諦めなくてよかった」と振り返る。

 同事業は、県と鹿児島市の委託を受け、県母子寡婦福祉連合会(県母連)と同市母子寡婦福祉会が実施している。支援員がひとり親世帯の家事を代行したり、子どもを預かったりする。2023年度は約160回の利用があった。

 ひとり親世帯の受け皿となる一方、年々支援員不足が進む。県母連の登録者は14年度426人だったが、23年度は50~70代を中心に72人と8割減った。高齢で辞める人が増え、35市町村で支援員が不在だ。支援員の認知度が低く、チラシなどで周知を図るものの、近年は希望者も少ないという。

 支援員になるには、保育士や看護師の資格を持つか、県母連の研修を受ける必要がある。24年度に奄美市で研修した同市の美容師、実利津子さん(66)は「活動すれば給料が出て、副業としても働ける。ひとり親が息抜きしたい時などもっと気軽に使えるようになれば」と話す。

 県母連の担当者は「仕事と家事、育児を一手に引き受け、悩みを背負い込む人も多い。手助けできるよう、支援員を増やしていきたい」と話す。県母連=099(258)2984。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >