要支援者の避難がスムーズに――「とりあえず一般避難所」は不要、災害時は安心して指定福祉避難所へ 鹿児島市が6月6日運用開始

2025/05/26 06:27
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 鹿児島市は6月6日から「指定福祉避難所」の運用を13カ所で始める。一般避難所のように大雨や台風などの際に開設し、要支援者ら特別な配慮が必要な人だけが直接利用できる。多目的トイレやバリアフリー環境が整っており、市は「これまで避難をためらっていた人も気軽に使ってほしい」と呼びかけている。

 地域福祉課によると、指定福祉避難所を使うには、要介護3以上や身体障害手帳1、2級、療育手帳A1、2所持といった要件があり、家族や支援者も利用できる。市職員が運営し、長期化した場合、保健師が巡回する。介護などのサービスはなく、医療的ケアや薬の準備は本人で対応することになる。

 大規模災害発生時のみ市が協定を結んだ介護施設などに設けられる「福祉避難所」は、高齢者ら要支援者も一般避難所に身を寄せた後、優先順位を決めた上で2次的に移動する仕組み。そのため「バリアフリー施設に直接避難したい」との要望が寄せられていた。指定福祉避難所の開設で、要支援者が避難しやすくなることが期待できる。

 旧5町域を含む13カ所は各地の高齢者福祉、保健センター、心身障害者総合福祉センター(真砂本町)、知的障害者福祉センター(星ケ峯2丁目)など。地域福祉課の山室真樹課長は、日頃使い慣れている公的施設に避難できる安心感もあると説明。「危険を感じた時はためらわずに避難してほしい」と話している。

◇優先開設の避難所運用に変更も

 鹿児島市は合わせて、市内の避難所227カ所のうち、優先開設する施設や数を変更する。

 避難所には優先的に設置する「第1開設避難所」と災害状況などに応じて設ける「第2開設避難所」がある。6月6日からは、第2の清和小学校(谷山地域)や鹿児島国際大学(同)など7カ所が第1(計94カ所)になる。萩別府公民館(伊敷地域)や常盤集落センター(郡山地域)など5カ所は第1から第2(計133カ所)に変更される予定で、注意が必要だ。利用実態を考慮して入れ替えた。

 昨年は、線状降水帯予測による警戒レベル3(高齢者等避難)が発令された際に、「第1」90カ所余りを全て開設した。しかし、3回の発令で7割以上の避難所で利用がなかった実情を踏まえ、6月から「早期開設避難所」47カ所(指定福祉避難所を含む)で対応することになった。台風や警戒レベル4(避難指示)の場合はこれまで同様に「第1」全てを開設する。

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