鹿児島県執行部から新総合体育館の検討状況について説明を受ける県議ら=26日、県議会全員協議会室
鹿児島県は26日、鹿児島港本港区のドルフィンポート跡地に計画する新総合体育館について、メインアリーナ観客席を基本構想通りの8000席で維持して設計する考えを明らかにした。事業費圧縮のため7000席に減らす方針だったが、経済波及効果を優先した。3月に説明していた7000席での建設費406億円は、8000席にすることで17億円増の423億円になる。県議会向け説明会で報告した。
基本・実施設計や、測量などの調査を含む設計業務委託事業費を、2026~28年度に最大9億300万円の債務負担行為として予算計上する。交通量調査費と設計者選定に向けた審査会運営費の計3200万円を盛り込んだ25年度一般会計補正予算案を、6月4日開会の県議会6月定例会に提出する。
議会で承認されれば設計者の公募手続きに進む。9~10月に公告、26年3~4月に契約を結び、同年度の設計着手を計画。建設が認められた場合、財源確保のため企業版ふるさと納税などを検討する。
県施設整備に充てる基金の24年度末残高見込みは129億円。農業試験場跡地の売却などで、29年度に目標の150億円を超えるように積み増す。建設費増に伴い、30年間の一般財源負担額は5000万円増の年10億5000万円になるが、安定的な財政運営は可能とした。
県はこれまで、民間事業者に資金調達から整備・運営までを包括発注するPFI手法で事業費を算出。7000席では基本構想の約2倍になる488億円だった。個別発注する従来型手法に変えたため、今後は維持管理費などを除く建設費のみで説明する方針。
客席数を巡っては、県が事業費圧縮のため削減を提示。初期費用が15億円減る一方、経済効果が年間4億円減少することに県議会から懸念の声があり、再検討していた。