海面に集まったクリイロカメガイ=27日、長島町の蔵之元港
鹿児島県長島町蔵之元港などで27日、巻き貝の一種クリイロカメガイが大量に確認された。「流氷の天使」と呼ばれるクリオネによく似た、愛きょうある姿で岸壁や船の周囲を泳ぎ回っている。
クリイロカメガイは体長約1センチ。ゼリーのような透明な体の中に丸い栗色の貝殻があり、翼のような翼足や長い触手をもつ。同じ巻き貝の仲間であるクリオネと同じように翼足を使って羽ばたくように移動する。
同港で観光グラスボートを運航するえびす屋の岩崎明船長(73)は26日午後、海面を漂う黒い帯状の群れを発見。「以前にも数回見かけた。たいてい1日でいなくなり、次の日までいるのは初めてでは」と話した。群れは阿久根市の黒之瀬戸付近でも見られ、住民らから「見慣れない生き物」「クリオネみたいだけど、寒い海にいるのでは」と驚く声が聞かれた。
かごしま水族館(鹿児島市)の吉田明彦展示第一課主幹(59)によると、ふだんは外海を漂っており、風向きや潮流次第で5月ごろに鹿児島沿岸にやってくる。「今年は量が多いようだが、危険な生き物ではない。豊かな海の象徴」と話した。