山形屋
私的整理の一種「事業再生ADR」による経営再建を目指す山形屋(鹿児島市、岩元修士社長)は28日、同市で定時株主総会を開き、再建初年度となった2025年2月期決算を報告した。売上高は160億3769万円(前期比1.2%減)、経常損益は4億3312万円の赤字(同18%減)で5年連続となった。昨年から公表する純損益も、20億6886万円の赤字(同約3.1倍)だった。
ADRは不動産売却や組織体制のスリム化を柱とする5年間の計画。28日には、「山形屋情報物流センター」(同市城西3丁目)の売却が明らかになった。
決算は23年2月期から会計基準を変更し、テナントなどの売り上げは利益部分のみの計上。昨年8月に国分山形屋や川内山形屋など関連6社を合併したものの、自社運営店舗をテナントへ切り替えたこともあり売上高は減少した。
本業のもうけを示す営業利益は1億556万円(前期比6.1%減)。訪日客需要の高まりにより、免税売上高が6億1728万円(同2.6倍)で過去最高となったほか、催事の「東北6県味と技展」「バレンタインコレクション」も過去最高を更新した。一方で、物価高や暖冬の影響で、衣料品の売上高は前期を1.8%下回った。
変更前基準の売上高では383億2836万円で4期連続の増収となり、新型コロナウイルス禍前の20年2月期の9割超まで戻った。山形屋本店は366億8584万円(前期比1.8%減)、テナント家賃収入など含むその他の営業収入は6億4609万円(同18.3%増)、国分は5億7394万円(昨年8月以降)、川内は4億2247万円(同)だった。
26年2月期の売上高や営業利益見通しは「事業再生計画につながるため、回答を控える」としている。
◇宮崎山形屋は4期ぶり減収
宮崎山形屋(宮崎市、山下隆幸社長)は27日、同市で定時株主総会を開いた。2025年2月期決算の売上高は前期比3%減の105億6500万円で4期ぶりの減収。本業のもうけを示す営業利益は前期比7.3%増の8800万円で3期連続の黒字だった。
同社は、株主総会に合わせた組織改定で新たに営業推進部を設置。既存の営業部・外商部とともに収益確保に向け営業力強化を目指すとしている。
同社によると、山形屋(鹿児島市)社長を兼ねる岩元修士会長は「再建1年目は計画通り進められた。鹿児島と宮崎で進む方向は同じ。2年目はよりスピード感を持ち取り組む」とあいさつした。