福岡歯科大学口腔歯学部の田中芳彦教授(59)=出水市出身=らの研究グループは、活性化した腸内細胞が真菌(カビ)による口内の感染症「口腔(こうくうカンジダ症」の重症化を防ぐ仕組みを解明したと発表した。16日に米国科学誌のオンライン版に論文が掲載された。食習慣の改善など腸内環境を整えることで重症化の予防が期待される。
口腔カンジダ症は、口内の粘膜に白苔(はくたい)が付着し、ヒリヒリ感や痛みを伴う。加齢や免疫力の低下が原因とされる。
重症化予防に関わっているのは、ヘルパーT細胞という免疫細胞。研究では、マウスの腸にカンジダ真菌を投与するとヘルパーT細胞の一種(Th17細胞)が増殖した。その後、血管やリンパ管を通じて口の中へ移動。口内でタンパク質を分泌し、真菌を壊す好中球を呼び寄せることなどを確認した。ヘルパーT細胞は以前から注目されていたが、腸で増殖する詳細なメカニズムは不明だった。
田中教授は「口腔カンジダ症は高齢者に多く、鹿児島も高齢化が進んでいる。元気につながる食習慣の仕組みを一日も早く解明したい」と語った。