公的年金、いつからもらうのが理想的? 65歳より繰り上げか繰り下げか…「老齢基礎」で試算してみた

2025/05/30 11:42
 4、5月分の年金が6月13日に支給される。受給は原則65歳からだが、開始は1カ月単位で60歳までの繰り上げか、66~75歳に繰り下げができる。いつから受け取るのが理想的なのだろう。シミュレーションを基に考えてみた。

 公的年金制度は、20~59歳の全てが加入を義務づけられている国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員らが加入する厚生年金がある。

 今回は、国民年金の給付金の一つ、原則65歳に達したら受け取れる老齢基礎年金で、支給開始年齢と支給額を比較した。

 2025年度にもらえる老齢基礎年金は満額で83万1700円(1カ月あたり6万9308円)。支給開始を65歳から繰り上げると月0.4%ずつ減り、60歳では63万2092円。一方、繰り下げると月0.7%ずつ増え、75歳で153万328円になる。

 受給を遅らせるほどお得に見えるものの、受給期間はその分短くなる。23年簡易生命表の60歳平均余命を参考にすると、統計上は女性88.91歳、男性は83.68歳まで受け取れることになる。しかし、寿命は予測できない。

 25年度から60歳で受給を始めた場合、80歳時点の総額は1264万1840円。65歳(1247万5500円)、75歳(765万1640円)を上回る。

 だが、90歳時点では総額は逆転。75歳(2295万4920円)、65歳(2079万2500円)、60歳(1896万2760円)となる。

 もっとも、生活状況や障害の有無など事情はさまざまだ。受給を繰り下げて額が増えると、税金が増えるケースもある。年金は受給条件が多岐にわたり、いつから受給するのがベストか、正解はないようだ。

 「年金の仕組みは非常に複雑。一番いい選択をするために専門家に相談してほしい」と鹿児島市の社会保険労務士、石神啓介さん(61)は話す。

 相談は県内各地の年金事務所や、鹿児島市の街角の年金相談センター鹿児島オフィス、市町村役場、ねんきんダイヤル=0570(05)1165。

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