万博会場を彩る「こみゃく」モニュメント(引地耕太さん提供)
大阪・関西万博会場で目玉のようなデザイン「こみゃく」が人気を集めている。公式キャラクター「ミャクミャク」の子どもに見えるため、「こみゃく」という名前が交流サイト(SNS)上などで定着。生みの親は鹿児島県出身で、東京を拠点に活動するクリエーティブディレクター引地耕太さん(42)だ。
こみゃくは155ヘクタールの会場のあちこちを彩る。路面や大屋根リングの遊歩道に描かれたり、モニュメントや旗が設置されたり。エスカレーターや壁、大屋根リングの柱には、さまざまなアーティストがそれぞれの作風で表現している。
万博協会が2021年、万博のイメージ統一のため企画を公募。引地さんは当時勤めていた会社の同僚とチームを組み、手を挙げた。細胞をイメージした赤い円形が環状に連なる公式ロゴマークと、テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を基に作った。
基本は赤、青、灰色の3色で、赤は人間、青は自然、灰色はテクノロジーを表す。3者の「いのち」が出合い、成長し、進化して「未来社会」を共につくりあげる姿をデザイン化した。
誰もが自在に切り取り、アナログやデジタル、媒体を問わず展開できるよう設計。形は変幻自在とあって、会場全体の装飾のほか、SNS上でファンによる2次創作が相次ぎ、こみゃく風の服やネイルを自作して訪れる人もいる。
引地さんは「活用しやすい開かれたデザインを作ったとはいえ、ここまで人気になるのは想定外。まさにみんなでつくる未来社会の体現」と笑顔。「万博はまだ前半戦。こみゃくがどう進化するか今後の展開が楽しみ」と期待している。