夜間景観基本計画のライトアップ整備モデル箇所=鹿児島市城山町
鹿児島市は、鹿児島城跡の御楼門や国登録有形文化財の中央公民館などがある「歴史と文化の道地区」の夜間ライトアップに取り組む。観光スポットの多い同地区に統一感のある明かりを整備し、周辺の天文館地区からの回遊性を高める。整備方針をまとめた基本計画を作成中で、2月から県立図書館前の歩道に整備の参考とするモデル箇所を設けている。
都市景観課によると、「歴史と文化の道地区」は国道10号を中心とした約31万平方メートルのエリア。これまでも市立美術館や照国神社歩道などをライトアップしてきたが、局所的で統一感に欠けていた。2024年7月に実施した現状調査では、歩行に不安を感じる暗さや過剰なまぶしさも指摘された。
それらを踏まえ、市は昨年夏から「歴史景観エリア夜間景観基本計画」の作成を進め、5月に素案を公開した。「あかりでむすぶ歴史・文化」のテーマを掲げ、安全性を確保しながら心地よい陰影や適切な色温度など7項目の基本的原則を設定する。
現在、計画に基づくモデル箇所として県立図書館前の約100メートルをライトアップ。西南戦争時の銃痕が残る石垣を間接照明とスポットライトで照らし、水路脇の木の手すりにテープ状のライトを設置して足元を明るくした。都市景観課の中島祥太課長は「これまでエリアごとの計画がなく、明かりに統一性がない街並みで、夜の観光資源として生かし切れていなかった。市民や観光客により楽しんでもらえる夜間の景観ができれば」と話す。
市は素案に対するパブリックコメントを30日まで募っている。寄せられた意見を踏まえ、10月に計画を策定する方針。同課=099(216)1425。