400億円超の新体育館、維持費明示できるのは「だいぶ先」 鹿児島県の塩田知事、事業費の説明“封印”

2025/06/05 11:41
県の新総合体育館事業が計画されるドルフィンポート跡地(中央)=鹿児島市、2024年1月、本社チャーター機から撮影
県の新総合体育館事業が計画されるドルフィンポート跡地(中央)=鹿児島市、2024年1月、本社チャーター機から撮影
 鹿児島県の塩田康一知事は4日の県議会での提案理由説明で、鹿児島港本港区のドルフィンポート跡地(鹿児島市)に計画する新総合体育館の運営費などを含む事業費について言及しなかった。「整備手法が変わったため」と説明し、維持管理・運営費は施設の使用開始前に明らかになる見込みだ。想定される年間の収入と支出の具体額や赤字額なども今議会では示されないとみられ、計画の分かりにくさを一層印象づけている。

 「整備を進めるにあたり強い覚悟を持って臨む」-。本会議でそう述べた塩田氏。事業費の説明を“封印”した理由について、民間事業者に設計から建設、維持管理運営まで一括発注するPFI手法から、個別発注の従来型に変更したことを挙げる。「通常の公共施設は建設費や運営費など個別に議論する」とし、「毎年の運営費は予算計上の段階で議会に諮ることになる」とした。

 県が2022年に策定した基本構想では、建設工事費や設計監理費を含む整備費を約205億~245億円、維持管理・運営費が年間約2億9700万円と概算で明示している。スポーツ利用やコンサートなどの収入を差し引いた収支差は年間8900万円の赤字とした。

 その後、人件費や金利上昇で事業費が膨らんだためPFI手法を導入。それでも事業費は313億円にアップし、赤字額も9800万円に増えた。さらに入札不調を経て、事業費は488億円に激増。年間収支は2億4600万円の赤字と見積もった。

 ランニングコストを示す時期について塩田氏は「通常であれば指定管理者を公募する段階なので、だいぶ先になる」とする。

 県は経済効果優先で構想通りのメインアリーナ観客席8000席の維持を決めた。建設費は概算で423億円。県議会は新体育館整備後の青写真がないまま、設計費9億円の是非を判断することになる。

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