妊娠検査薬や避妊具などの教材キット=5月24日、鹿児島市上之園町のNAGAYAタワー2階
生理や避妊、セクシュアリティーなど、若者の性や身体の悩みを専門家に相談するユースクリニックが、全国に広がっている。鹿児島市でも月1回、思いがけない妊娠などに悩む人の相談窓口・にんしんSOSかごしまが「ユースカフェ」を開いている。昨年6月の開設から1年がたった。相談員は「性を相談する文化はまだまだ浸透していない。正しい情報を知るためにも気軽に立ち寄ってほしい」と呼びかける。
「コンドームって何ですか?」。5月下旬、同市のユースカフェを訪れた中学1年の女子生徒2人が、相談員の安藤美智子さん(52)に質問した。
安藤さんは模型と実際のコンドームで使い方や注意点を説明。避妊具や避妊率、ピルについても語り、2人は真剣に耳を傾けた。
安藤さんは「付き合っているからといって、性行為をするのが当然ではない。したくないなら相手にどう伝えればいいか、日頃から自分の意見を言えるようにしてみよう」と助言。生徒らは「親には相談できない悩み。ちょっと怖いと思っていたけど、聞けてよかった」とほっとした表情を見せた。
ユースクリニックはスウェーデン発祥で、主に13歳~20代前半の男女が、身体や性の悩みを無料または低価で相談する場。同国には250カ所以上、日本には約60カ所あるとされる。
ユースカフェでは、助産師などの資格を持つ相談員が悩み相談や性教育をする。必要であればコンドームを無料で配布している。
これまでに12回開催し、52人が訪れた。うち13~25歳は12人ほど。主に女性で「月経が来ていない」と妊娠の不安を打ち明けられ、相談員が一緒に妊娠検査をしたこともあったという。
利用しやすいよう、あえて「カフェ」としたが、相談目的の訪問はまだまだ少ない。安藤さんは「来るのには勇気がいると思うが、自分と相手を大切にする一歩」と訴える。
同じ建物で午前中、こども食堂も開かれており、小学生の参加が多い。子どもたちは「女性の膣(ちつ)はどこにある?」「理想の身体は?」など、心や身体に関する質問が書かれたかるたで遊びながら学習する。安藤さんは「男女問わず、ユース世代以外も来てほしい。大人も、子どもに性教育をするための学びの場として活用してくれたら」と願う。
◇
ユースカフェは参加無料。毎月第4土曜の午後2~5時。鹿児島市上之園町のNAGAYAタワー2階。にんしんSOSかごしま=070(4355)9854。