中居さん問題が影響?海上自衛隊の史料館がフジ系列の取材を拒否…館長が対応を誤認「許可に1カ月かかる」

2025/06/12 06:30
俳優らが訪れた鹿屋航空基地史料館=11日、鹿屋市西原3丁目
俳優らが訪れた鹿屋航空基地史料館=11日、鹿屋市西原3丁目
 海上自衛隊鹿屋航空基地史料館(鹿屋市)が、鹿児島テレビ放送(KTS)の取材申請をフジテレビ系列であることを理由に受け付けなかったことが11日、分かった。史料館側は「フジ系列の取材対応について認識に誤りがあった」としている。

 取材は5日にあり、特攻を題材に県外で上演される舞台の主演俳優が、役作りや告知を兼ねて史料館を訪れた。KTSの記者が5月30日、史料館の永山勉館長に電話で取材を申請したが、「フジ系列は許可に1カ月かかるので難しい」などと言われ、申し入れ自体認められなかった。南日本新聞は同28日に申請書を出して取材した。鹿児島読売テレビ(KYT)も史料館で取材した。

 史料館や海上自衛隊第1航空群司令部広報室によると、通常、取材申請があった際は広報の責任者である群司令が許可を出す。内容によっては、海上幕僚監部の広報や内閣へ相談する場合もあるとしている。

 国は、元タレント中居正広氏と女性とのトラブルを巡る問題を受け、フジテレビとのタイアップや広告出稿は目的を勘案した上で内閣に相談し対応することとしていたが、報道対応については通常通りとする旨を1月30日の内閣官房長官記者会見で明確にしている。広告出稿についても、6月3日以降は各省庁の判断に委ねることとした。

 永山館長は南日本新聞の取材に対し「報道対応と企画制作の取り扱いを混同していた。時間的な制約があると思い込み、独断で取材を断ってしまった」などと説明した。

 KTSの三島盛義取締役報道制作局長は「フジテレビの一連の問題に関しては、系列局として重く受け止めている」とした上で「KTSはフジテレビとは別法人の地方局で、これまでも県民に寄り添った情報を届けてきた。今回は戦後80年に、特攻を広く知っていただく上でも重要なニュースと判断した。館長の『独断』とはいえ、取材を許されなかったことは非常に残念」などとコメントした。

■専修大・山田健太教授(65)=言論法=の話

 公的な施設が特定のメディアを排除することは恣意(しい)的なメディア選別、ひいては国民の知る権利の侵害につながる可能性があり、あってはならない。企業の抱える問題と取材報道対応は分けるべきだ。広く国民に(史料館の)展示について知ってもらおうという気持ちがあれば、こうした対応にならないはず。今回は館長の独断だったというが、組織の風土として広報に消極的な姿勢があるのではないか。

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