再審制度見直しへ野党6党が改正法案を提出 自公、維新は加わらず継続審議の見通し

2025/06/19 11:00
再審制度見直しの改正法案を衆院に提出する野党6党の代表者ら=18日、国会
再審制度見直しの改正法案を衆院に提出する野党6党の代表者ら=18日、国会
 有罪が確定した裁判をやり直す再審制度の見直しに向け、立憲民主党など野党6党は18日、証拠開示の制度化や検察官抗告の禁止を盛り込んだ刑事訴訟法改正案を衆院に提出した。超党派の国会議員連盟が法案を作成したが、自民、公明、日本維新の会の3党は提出に加わらなかった。

 法案を提出したのは立民、国民民主、れいわ新選組、共産、参政、社民。議連は自民議員が会長や事務局長を務めているが、自民には法制審議会(法相の諮問機関)の議論を見守るべきだとする慎重論があり、共同提出に必要な党内手続きが進まなかった。法案は継続審議となる見通し。

 改正案は、再審請求人側から請求があった場合の裁判所による証拠開示命令▽再審開始決定に対する検察官の不服申し立ての禁止▽原審などに関与した裁判官の担当除外▽手続き規定の整備-を盛り込む。日弁連や法務省、最高裁などへの意見聴取を経てまとめた。

 議連の逢坂誠二幹事長(立民)は提出後、「スピードと実効性を重視した内容」と強調。柴山昌彦会長(自民)は「一刻も早く全ての会派の同意を得て法案を成立させたい。自民も含め、次期国会に向けて働きかけを継続する」と述べた。

 議連は冤罪(えんざい)被害の早期救済のための法整備を求め、与野党の党首級が呼びかけ人となり2024年3月に発足。議員立法で今国会中の法案成立を目指していた。一方、法務省が設置する法制審では、今年4月から専門部会で再審制度見直しの議論が本格化している。

【解説】冤罪救済へ第一歩、法改正の早期実現は国会の責任

 再審制度のルールを明確にする刑事訴訟法改正案を野党6党が18日提出した。冤罪被害の早期救済に向けた第一歩といえるが、自公維が共同提出を見送り法改正は見通せない状況だ。引き続き各党の合意形成に向けた努力が求められる。

 制度見直しを巡っては、国会議員の半数以上が所属する超党派議員連盟が、議員立法で今国会中の法改正を目指す方針を1月に確認。その後、法務省はこれまでの慎重姿勢を一転させて法制審議会への諮問を決め、部会での議論を始めた。

 自民は法相経験者らを中心に法制審に委ねる構えだが、「検事が要職を占める法務省の会議体に改革できるのか」と懸念する声もある。法制審特別部会で委員の経験がある映画監督の周防正行さんは「公正さを担保するためにも議員立法しかない」と強調する。

 「大崎事件」の原口アヤ子さん(98)は過去3度の再審開始が検察官抗告で取り消されている。今回の法案は法整備の必要性が明らかな4項目だ。法制審の結論を待たず、国会の責任で早期に法改正を実現する必要がある。

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