韓国・中国に次ぐ“お得意様”香港線の断絶…根拠なき「7月日本で大地震」のデマに観光業界悲鳴

2025/06/20 11:00
新型コロナウイルス禍後の香港航空の再開第1便で、歓迎を受ける香港の観光客=2024年3月31日、霧島市の鹿児島空港国際線ターミナル
新型コロナウイルス禍後の香港航空の再開第1便で、歓迎を受ける香港の観光客=2024年3月31日、霧島市の鹿児島空港国際線ターミナル
 香港で広まる「7月に日本で大地震が起きる」という根拠のないうわさは、鹿児島との空路が一時途絶える事態に発展した。香港航空の4カ月間の運休が明らかになった19日、県内の観光関係者らは「影響は避けられない」と頭を抱えた。新型コロナウイルス禍での長期運休を終えインバウンド(訪日客)需要が戻りつつある中、国は風評被害払拭に躍起だ。

 観光庁の2024年調査では、鹿児島県への外国人延べ宿泊者47万8420人のうち、香港は14.7%の7万330人と、韓国、中国に続いて3番目に多い。鹿児島空港(霧島市)発着便は一部で欠航が始まっており、「宿泊業者からはキャンセルが発生したとの声が集まってきている。影響は小さくない」と県PR観光課の若松拓人課長(52)は嘆く。

 日本政府観光局の統計によると、香港からの訪日客の9割は2回以上のリピーター。団体ツアーより個人客が多いのも特徴で、鹿児島観光コンベンション協会DMO戦略課の長石祐司主任(55)は「香港は日本と同じ左側通行で、レンタカー移動も多い」と話す。

 県内トヨタレンタカー21店舗のうち、鹿児島空港店(霧島市)は一番の稼ぎ頭。トヨタレンタリース鹿児島(鹿児島市)の担当者は「訪日客は連泊が多いため単価も高い。4カ月もの運休は影響が大きい」。個人旅行の香港客が多いという砂むし会館砂楽(指宿市)の福永成昭事務局長(58)は「訪日客では香港が1番多い。定期利用がなくなるのは痛い」と漏らした。

 西原商会グループ(鹿児島市)の香港事業所には、県出身の日本人スタッフもいる。海外拠点統括の佐藤睦さん(51)は「帰省しようにも福岡経由の便しかなくなれば、時間や費用面で不便になりそうだ」とおもんぱかった。

 うわさについて、気象庁の野村竜一長官は13日の会見で「デマと考えられ、心配する必要は一切ない」と指摘。観光庁も「公的機関による科学的情報を参照してほしい」と呼びかける。

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