沖縄戦80年「特攻」当時のまま現存——本土最南端の出撃地・知覧に残る希少な「掩体壕」 南九州市が史跡に指定

2025/06/24 06:30
市文化財に指定された掩体壕=23日、南九州市知覧町西元
市文化財に指定された掩体壕=23日、南九州市知覧町西元
 鹿児島県南九州市は23日、旧陸軍知覧飛行場跡近くに残る掩体壕(えんたいごう)1基(同市知覧町西元)を文化財(史跡)に指定した。戦後80年の節目に、太平洋戦争の沖縄戦で旧日本軍の組織的戦闘が終結したとされる「慰霊の日」に合わせた。戦争遺跡の保全や継承を図り、平和に向けた取り組みを進める狙い。

 掩体壕は軍用機を敵機から守るため旧日本軍が整備した格納庫。屋根で覆われた有蓋(ゆうがい)型と、屋根がなく土塁で固めた無蓋(むがい)型がある。南九州市によると、指定された掩体壕は無蓋型で、縦24メートル、横29メートル、土塁の高さは最大2.5メートル。ほぼ当時のまま現存するのは全国的にも希少としている。

 知覧飛行場は、沖縄戦で本土最南端の特攻基地として使われ多くの隊員が出撃した。周辺には1944年に約60基の無蓋型掩体壕が造られ、土塁のない露天型や木製屋根を取りつけた木製有蓋型もあったとされる。

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