ホルムズ海峡が封鎖されないか――ガソリン、早くも買いだめの動き 「見守るしかない」事業者ら注視、冷静な行動求める 鹿児島県内

2025/06/24 07:00
イランがホルムズ海峡封鎖に踏み切った場合、県内ガソリン価格への影響も懸念される=23日、鹿児島市のエコスタンド
イランがホルムズ海峡封鎖に踏み切った場合、県内ガソリン価格への影響も懸念される=23日、鹿児島市のエコスタンド
 米軍がイランの核施設を攻撃するなど、緊迫化する中東情勢を鹿児島県内のエネルギー事業者らも注視している。ホルムズ海峡が封鎖されれば、県民生活への影響も考えられ、すでに買いだめの動きもある。現時点で「見守るしかない」との声が多い中、県石油販売業協同組合は「政府の施策や国家備蓄もある。冷静に行動して」と訴える。

 鹿児島市郡元1丁目の給油所「エコスタンド工学部前店」では、イラン攻撃が報じられた22日、いつもの週末より長い車列ができた。23日も平日としては多い来店があった。

 運営するはーもにーりんぐ社(同市)の中村哲人統括マネージャーは「日曜日は閉店前にガソリンが売り切れた。中東情勢を気にして『高くなる前に』と給油する客が増えている」と明かす。同市の40代男性は「ガソリン代が上がると生活が厳しい。けど、まずは平和を望みたい」と話した。

 「原油自体が高騰しても店頭価格が劇的に上がることはないだろう」と指摘するのは、県石油販売業協同組合の高田英司専務理事。政府は26日から予防的な激変緩和措置として、レギュラーガソリン1リットルの全国平均価格が175円になるよう元売り業者に補助を出すためで、「現在の価格は維持されるはず」と見通す。

 ただ不安は残る。補助期限は8月までで、県内で給油所を展開する南国殖産(同市)は9月以降を懸念する。カーライフ事業部の担当者は「中東情勢が不安定なままでは石油製品のコストが上がってしまう。補助制度も注視したい」。

 石油やLPガスのエネルギー事業が主力のMisumi(同市)の今林俊人サポート本部長(63)も「仕入価格が上がれば、値上げは避けられない。一段と需要が冷え込む可能性がある」と気をもむ。

 日本は中東から液化石油ガス(LPG)も輸入する。近年は米国産の割合が増え中東依存度は減りつつあるものの、製造・販売事業者でつくる県LPガス協会の市田芳一会長は「LPガスの基となる原油価格が上がれば、連動してくる。今後の動向を見極めたい」と警戒する。

 資源エネルギー庁によると、日本には現在約250日分の石油備蓄があり、仮に中東からの供給が途絶えてもすぐにガソリンがなくなることはない。高田専務理事は「買いだめなどをせず、普段通りに給油してほしい」と呼びかけた。

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