21日から地震が相次いでいる十島村悪石島では23日も震度4〜1の有感地震が続発した。同日は午後10時までに139回観測。累計は273回(速報値)になった。十島村によると、被害は確認されていない。鹿児島地方気象台は「過去に継続した事例があり、いつまで続くか分からない」とし、当分の間、地震に注意するよう呼びかけている。
気象台によると、23日最も大きかった地震は、午前0時15分ごろ、悪石島で震度4、諏訪之瀬島で震度1を観測した。震源の深さは約10キロ、地震の規模はマグニチュード(M)3.6と推定される。一連の地震はユーラシアプレート内部で起きる内陸地震とみられる。震源はトカラ列島近海で、小宝島の北に集中する。
この震源域では過去にもまとまった地震があり、2024年6月に16回、23年9月は346回、21年12月に308回と頻発した。21年は悪石島で最大震度5強を観測し、M6.1だった。気象台は「一度地震が起きると活発化する特徴がある。他の領域でこれだけ続くことはない」とし、今回も同様の現象とみている。
鹿児島大学大学院の仲谷幸浩特任助教(地震学)は「地震データだけでは背景にあるメカニズムは分からない。いつ収束するかは不明。過去の事例に照らせば、最も活発な期間は数日から1週間程度」とする。
その上で「本震も余震もなく、似たような地震が続く。その中でも大きな地震は起こりうるので備えは重要」と指摘した。1990年代以降、群発地震が何か別の現象につながった例は確認されていないという。
久保源一郎村長らは24〜26日、悪石島、小宝島、宝島で村民と意見交換する。久保村長は「住民の声に耳を傾け、少しでも不安を解消したい」と話した。