新燃岳7年ぶりの噴火は「水蒸気噴火」か――専門家が噴出物分析 マグマ噴火へ移行する可能性指摘「活動の注視必要」

2025/06/26 06:48
新燃岳から出た噴煙に覆われる霧島連山=22日午後7時10分ごろ、宮崎県高原町蒲牟田
新燃岳から出た噴煙に覆われる霧島連山=22日午後7時10分ごろ、宮崎県高原町蒲牟田
 22日に起きた霧島連山・新燃岳の7年ぶりの噴火は、マグマ噴出を伴わない「水蒸気噴火」の可能性があることが25日、専門家の分析で分かった。2017年10月に水蒸気噴火が起きた際は、5カ月後に規模の大きい「マグマ噴火」となったが、すぐに移行する場合もある。専門家は火山活動の注視が必要としている。

 22日の噴火は午後4時37分に観測され、同5時55分まで連続噴火した。

 鹿児島大学の嶋野岳人教授(火山地質学)は火口から東の宮崎県高原町で火山灰を採取し、粒子を調べた。新燃岳火口に元々あったとみられる溶岩のかけらや、火口の下にある熱で変質した岩石のかけらで構成され、新たなマグマに由来する可能性があるものは、ほとんどなかったという。

 このため、今回の噴出物は最後にマグマ噴火が起きた18年3月より前のものと判断。22日はマグマの熱で高温高圧になった地下水が爆発的に噴き出す「水蒸気噴火だった」とみている。

 17年の水蒸気噴火は、18年3月に溶岩流や火砕流を伴う「マグマ噴火」に移行した。嶋野教授は「移行するとすれば、今回の噴火は噴火活動のまだ最初の段階と想定しておく必要がある」と指摘する。ただ、今後の推移はあらゆる可能性があるとし、08年のように収まったり、11年のように急にマグマ噴火に移行したケースがある。

 鹿児島地方気象台は23日、新燃岳の噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げた。23日以降は噴火は確認していない。24日に検出した火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日当たり2100トンと多い状態。25日の火山性地震は午後8時までに283回と多い状態で経過し、火山性微動も観測された。

 ◇水蒸気噴火とは 地下水がマグマの熱で温められることで膨張し、周囲の岩石などを火山灰として吹き飛ばす噴火。小規模のことが多い。マグマが直接関与しないため、噴出物には新しいマグマ物質が含まれない。地下からマグマが上がってくることで発生するマグマ噴火では、マグマの発泡により軽石が大量に噴出される。

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