打ち上げ準備状況を説明する三菱重工業の長沼公明打ち上げ射場チーム長(左)ら=27日、南種子町の種子島宇宙センター
三菱重工業は29日午前1時33分3秒、H2Aロケットの最終号機となる50号機を南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げる。温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW」を搭載する。予備期間は7月31日まで。
28日午前10時半ごろから整備組み立て棟の機体を射点に移動する。当初24日の打ち上げ予定は、機体の電気系統の不具合で延期された。長沼公明打ち上げ射場チーム長は「部品を交換し、不具合が起きないことを確認した。万全を期して準備を進める」と話した。
いぶきGWは、地表や海面から放出されるマイクロ波から海面水温や降水分布を推定。台風や集中豪雨の予測精度向上につなげる。温室効果ガスも計測し、濃度を監視する。打ち上げから16分後に予定の軌道で分離を目指す。
H2Aは2005年の7号機から43機連続で打ち上げに成功。引退後は、新型の基幹ロケット「H3」が役割を引き継ぐ。
打ち上げ当日は午前0時半ごろから、県庁18階でJAXAの打ち上げライブ中継がある。
◇
29日未明のH2Aロケット50号機打ち上げを前に、種子島宇宙センターのある南種子町で応援ムードが高まっている。町は見学者向けに記念グッズを用意し、主要道には成功を願うのぼり旗がずらり。既に見学場入りして車中泊するファンもおり、最終号機への期待の大きさをうかがわせる。
記念グッズはステッカー、缶バッジ、バルーンスティックの3種類。町指定の4見学場で無料配布する。ステッカーには「ありがとう!」と感謝の言葉が刻まれ、同じメッセージロゴが50号機の機体側面にも掲示される。
のぼり旗は町や町商工会が設置。ロゴのほかに「打ち上げ隊の皆さん頑張ってください」「成功祈願」といった文字が並ぶ。商工会は打ち上げ後、会員各店でねぎらいのメッセージボードを掲げる予定だ。
当初は24日未明に打ち上げ予定だったこともあり、見学場の長谷公園には20日ごろから、キャンピングカーなどで車中泊する人が現れた。群馬県から訪れた西山友紀子さん(52)はH2Aの部品製造会社で勤務経験があり、「最終号機を見届けたい。真夜中の美しい打ち上げが楽しみ」と話した。