トカラ列島近海を震源とする地震は、27日も午後10時までに14回発生し、十島村の悪石島や小宝島、宝島で震度3~1を観測した。21日からの累計は494回となった。地震が頻発し始めてから1週間。専門家は「いったん収まってから最大クラスの地震が起こるケースがある」と注意を呼びかける。
福岡管区気象台によると、トカラ列島近海では、2021年12月(308回、最大震度5強)、23年9月(346回、同4)、24年6月(16回、同3)とまとまった地震活動がある。
トカラ列島近海の海底地形や地質に詳しい、熊本大学大学院の横瀬久芳准教授(海洋火山学)は一連の地震活動について、一定の規則性がある可能性を指摘する。地震が多発し、いったん回数が減った後に、これまでより大きな地震があり、そこから徐々に減衰していくパターンだ。
地震が多発するのが第1段階とし「少しあいて大きな地震が起きるが、過去の地震でも最大マグニチュード(M)6級。それを超える地震は考えにくい」と解説。「ある程度の力で頻発し大地震にはならないという“安全弁”が働いているのではないか」とみる。
トカラ列島を含む琉球弧では、大陸側のユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが潜り込む。この際、フィリピン海プレートにある奄美海台(海底の隆起部)がユーラシアプレートにぶつかり、プレート内部の地殻に力が加わってひずみがたまり、地震が起きているのが基本的なメカニズムだという。
トカラ列島で頻発する地震を前兆と捉える「トカラの法則」については、「地震の規模が違い、影響を与えようがない」と否定した。