H2Aロケット有終の美、真夜中の打ち上げにファン「感動をありがとう」 最終50号機成功

2025/06/29 03:33
H2Aロケット50号機の打ち上げを見守る見学者=29日午前1時33分、南種子町の長谷展望公園
H2Aロケット50号機の打ち上げを見守る見学者=29日午前1時33分、南種子町の長谷展望公園
 「感動をありがとう」「長い間お疲れさま」-。種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)でH2Aロケット最終号機となる50号機が打ち上げられた29日、町内の見学場には多くのファンが訪れ、真夜中のフィナーレを見届けた。初号機打ち上げから24年。町民らはH2Aと打ち上げ関係者の労をねぎらい、さらなる発展を願った。

 四つある町指定見学場の一つの長谷展望公園には、県内外から大勢が集まった。打ち上げに合わせて「3、2、1」とカウントダウン。点火されたロケットエンジンの炎は一帯を明るく照らし、ごう音を響かせた。屋久島町の宮浦小2年大漉和翔さんは「朝みたいな明るさにびっくり。あっという間に昇っていった」と目を丸くした。

 南種子町島間の農業崎田善昭さん(57)は「まさに有終の美。これまでで一番美しい打ち上げだった」と喜んだ。幼い頃から打ち上げを見学。H2Aは2001年の初号機から見続け、24年9月の49号機は鹿児島市の入院先の窓から見守った。50号機の成功を目に焼き付け「本当にお疲れさま。あとはH3に託して」と感慨深そうに語った。

 同町中之上で食堂「ふる里」を営む長田憲児さん(71)友子さん(77)夫婦は、自宅から光跡を見上げた。開店から約40年。これまでに来店した多くのロケット関係者の顔が浮かんだ。「大変なこともあったと思う。感動をありがとうと伝えたい。ロケットは南種子の誇りです」

 町はロケットとともに歩んできた。小園裕康町長は「H2Aを50号機までつないでくれた関係者に感謝。当初は打ち上げに反発もあったが、多くの町民が協力し、今ではみんなが心待ちするようになった。これからもロケットと一緒に町を盛り上げたい」と話した。

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