噴煙を上げる新燃岳=28日午後0時20分ごろ、宮崎県高原町
7年ぶりに新燃岳が噴火してから29日で1週間が経過した。地下深くで何が起きているのか。霧島連山のマグマの動きなどを研究する九州大学地震火山観測研究センターの松島健教授(65)=固体地球物理学=に聞いた。
23日から25日まで観測された(山体の変化を示す)傾斜変動は、新燃岳火口から1〜2キロの地下にある比較的小さなマグマだまりの膨張によるものと考えられる。その後、傾斜変動は鈍化した。内部で圧力が高まり、岩盤が破壊されて起こる火山性地震も減った。火道(マグマの通り道)ができ、マグマ由来の水蒸気や火山ガス(二酸化硫黄)が火口から放出されやすくなったためだろう。
連続噴火は続いているが、マグマだまりの収縮を示すデータは観測されていない。さらに深い地点からマグマが入ってきて、(流入と放出が)釣り合っているのだろう。2011年の噴火の際は、えびの岳火口から地下7〜8キロにある大きなマグマだまりから供給された。
11年や18年のように溶岩が出てくるマグマ噴火が起こる可能性はあるが、予測は難しい。今のところは、気象庁の警戒範囲(火口の半径3キロ)を超える大きな噴石の飛散や火砕流の発生はまずないだろう。