(資料写真)十島村悪石島のやすら浜港
鹿児島県十島村は2日、震度5弱の強い揺れに2度見舞われた。6月21日から続く群発地震は940回を超えた。「津波が心配」「島外避難したい」。収まらない揺れの中で生活を送る住民や鹿児島市の庁舎で警戒を続ける役場職員には、疲労の色が濃い。離島の生命線である港湾や浄水施設といったインフラ施設への影響を不安視する声も上がる。
「ドンッと大きな音がして揺れが来た」。2日午後3時26分ごろ、小宝島の岩下二三子さん(48)は小学6年の長女と自宅にいるときに横揺れを感じた。とっさに長女のそばに寄り、ヘルメットをかぶせた。薄型テレビが倒れ、棚の上の箱やかごが落ちた。
外にいた夫からは山の上の大きな岩が崩れ、土煙が上がっていたと聞いた。「10秒ほどだったと思うが、何度も揺れるので1度の地震の長さが分からなくなる」
夜は地震を伝える防災無線や揺れに驚き、何度も目が覚める。相次ぐ地震で海水をくみ上げて飲み水にする島の淡水化施設は損傷を受けた。フェリーが着く港は島に一つ。「津波が心配。堤防や岸壁に被害が出ないでほしい」と願った。
「地響きのような音が続いた後、激しい横揺れが5秒以上続いた」。十島村役場小宝島出張所長の中村勝都志さん(45)は、揺れが収まってから島内を見て回った。学校の校庭の亀裂のほか、牧草畑や竹林で落石を見つけ「農作業中の人が巻き込まれていたらと思うとぞっとする」と話した。
同じ時刻に震度3を観測した宝島の義務教育学校宝島学園は急きょ、子どもたちを集団下校させた。有嶋さつき教諭(47)は「早朝から揺れが続き子どもたちは『足がガクガクする』と不安がる。島外避難したいという声も聞く」と明かす。
鹿児島市泉町の役場では、遠く離れた島々での地震頻発に職員が不安そうな表情で電話対応に追われた。交代で宿直体制を取っており、長引く対応に疲れの色も見える。久保源一郎村長は「迅速な情報収集など対応に全力を尽くす。人的被害を防ぎ、住民の不安払拭に努める」と語った。