新燃岳の噴煙=3日午後1時58分、霧島市牧園町
鹿児島、宮崎両県にまたがる新燃岳(1421メートル)は3日午後9時現在、6月27日に始まった連続噴火が続き、午後1時49分に噴煙が火口から5000メートルに達した。周辺山麓で鳴動があり、霧島市では多量の降灰があった。噴煙の影響で、同市の鹿児島空港を発着する計90便が欠航した。
鹿児島地方気象台によると、噴煙が5000メートルに達した前後で、傾斜計に新燃岳付近の膨張と収縮を示すと考えられるわずかな変化があった。大きな噴石の飛散は確認されていない。火山性地震は午後7時までに4回あった。2日午前に噴煙量が増大して以降、火山性微動が続く。新燃岳の噴煙が5000メートルを超えたのは2018年4月5日以来。
九州大学地震火山観測研究センターの松島健教授(固体地球物理学)は「浅い所のマグマだまりから火山ガスが多量に噴出され、割合がさらに高まった状態」と説明。今後、マグマ本体も火山灰となって噴出されると多量の火山灰が山麓に堆積し土石流の危険性が高まると指摘した。2011年や18年のような本格的噴火に移行する可能性も「一段と高まった」と語った。
鹿児島大の中尾茂教授(地球物理学)は、今年3月から山体深部の膨張を示す地殻変動が続いていることについて「11年の噴火は膨張が始まって1年後くらいだった。今回もそうなるとは限らないが、今後も続くようだと警戒を強めなければならない」と話した。
霧島市の鹿児島空港のカウンターには搭乗便の変更や払い戻しを求める客らが詰めかけた。日本航空(JAL)と全日空(ANA)によると、4日は計8便の欠航が既に決まっている。
噴火が続いた場合、4日午前は霧島、曽於、都城3市への降灰が予想される。
気象台は、噴火警戒レベル3(入山規制)を維持し、火口から半径3キロに立ち入らないよう呼びかけている。