「ピンチをチャンスに」――観光業困らせる“灰の雨” 降った方がお得なプラン登場 連続噴火の新燃岳、ふんばる地元

2025/07/06 06:30
灰が積もった路面を水とブロワーで洗い流す従業員=5日、霧島市牧園町中津川のおりはし旅館
灰が積もった路面を水とブロワーで洗い流す従業員=5日、霧島市牧園町中津川のおりはし旅館
 霧島連山・新燃岳は5日午後9時現在、連続噴火が8日以上続いている。降灰の影響による航空便の欠航に伴い、霧島市では観光客の宿泊予約キャンセルが相次いだ。連日の降灰に痛手をこうむる中、火山噴火を逆手に取った宿泊プランを企画する旅館もある。

 普段の週末は多くの観光客が集まる同市牧園の霧島温泉市場の人影はまばらだった。売店の店員は「来客はいつもの3割ほど」と明かす。近くの自営業湯田恵里加さん(42)は家族4人で訪れた。「県外の人が噴火と聞いて驚くのも分かるが、お客さんが来ないのはちょっと寂しい」

 降灰で休館していた霧島市霧島田口の霧島神話の里公園は、4日昼過ぎの雨で園内の灰が洗い落とされ、5日はレストランと道の駅の営業を再開した。高橋清貴支配人(49)は「恵みの雨。風向きを気にする日々は続きそうだが、訪れる人たちに楽しんでもらいたい」と話した。

 霧島市は2〜4日、降灰に見舞われ鹿児島空港発着の計211便が欠航した。

 宿泊予約の約3割にキャンセルが出た同市牧園町中津川のおりはし旅館は5日、「克ハイ!プラン」を始めた。宿泊費を最大5500円割り引くほか、夕食時に降灰がある日は地元の焼酎を飲み放題にする。12月26日まで続ける。

 有馬博明副社長(65)は「観光は一つの旅館ではなく地域全体の魅力で成り立つ。ピンチをチャンスに変える取り組みが広がり、地域全体が元気になれば」と力を込めた。

 新燃岳は6月27日から連続噴火が続いている。7月5日は午前3時の噴火が1500メートルに達した。大きな噴石の飛散は確認されていない。火山性地震は午後9時までに7回あった。火山性微動は続いている。

 噴火が続いた場合、5日午前は南東方向で降灰が予想される。気象台は警戒レベル3(入山規制)を維持。火口から3キロの範囲で大きな噴石などへの警戒を呼びかけている。

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