噴煙5000メートルを上げた直後、ドローンで上空から撮影した新燃岳=3日午後2時ごろ(産業技術総合研究所ホームページより)
霧島連山・新燃岳の噴火活動について、火山灰の構成物にマグマ由来のものが増加したことが9日、専門機関の調査で分かった。気象庁は結果を受け、「水蒸気噴火とは言えず、マグマの関与が強い噴火に変わってきている」と説明した。
新燃岳は6月22日、7年ぶりに噴火。同27日〜7月7日の連続噴火では噴煙が5000メートルに達した。7日再び再開した噴火が9日午後10時現在も続いている。
産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)は6月26〜28日と7月2〜4日、現地で火山灰を採取。火山灰の構成物はほとんどが既存の溶岩などだったが、6月と比べ、7月の火山灰には新たなマグマに由来するものが3%含まれた。
産総研の宮城磯治主任研究員(火山学)は、断続的な噴火と大量の火山ガス(二酸化硫黄)放出が続いていることから、「膨大な火山ガスは、深部からの継続的なマグマの供給が示唆される。わずかだがマグマの証拠となる噴出物が見つかった」と話した。一般的に、マグマの供給が続いても噴出してこないのは、火道内でマグマが対流し、ガスの分離だけが進む現象が考えられるという。
産総研はドローンによる観測も実施。映像から、噴煙が噴き出す穴が並ぶ火孔列や、火口から噴煙が斜面を下る様子も確認した。
気象庁は「このまま収束するか、激しい噴火につながるか、いくつもシナリオがある。現在の警戒範囲はマグマ噴火も想定している」としている。