悪石島から避難し、フェリーから降りる住民=9日午後6時ごろ、鹿児島市本港新町の南ふ頭
群発地震が続く鹿児島県トカラ列島の十島村悪石島から9日、新たに避難を希望した20〜70代の住民5人が村営船「フェリーとしま2」で鹿児島市に到着した。島外避難の第3陣で、避難者は小宝島の15人と合わせて64人になった。悪石島で震度6弱を観測してから10日で1週間。6月21日に始まった震度1以上の有感地震は、7月9日午後10時までに計1749回となった。
5人を乗せたフェリーは午後6時前、鹿児島港本港区南ふ頭に到着した。島内の避難所に身を寄せていたという70代の漁師男性は「ずっと揺れっぱなしで不安だった。ようやくゆっくり寝られる」とほっとした様子を見せた一方、「大きい地震が来ないことを祈っている」と島に残る住民を気遣った。
村によると、悪石島の住民基本台帳人口89人(43世帯)のうち、9日現在で島に残るのは20人(18世帯)。主産業の畜産に携わる人をはじめ、消防団員、火力発電所の運転・保守管理に当たる人ら島のインフラを支える住民が多い。村は食料を届けたり、災害支援の看護師を派遣して体調を確認したりしている。現在は看護師2人、村職員3人が滞在する。
村は震度6弱を受け、4日に希望者の島外避難を始めた。当初は1週間程度と見込んでいたが、期間の延長を検討している。
悪石島の義務教育学校・悪石島学園は、全児童生徒14人が島外に避難し4日から休校中。8日からオンラインで授業を再開した。小宝島学園は避難した児童生徒と教室をオンラインでつなぎ、授業を続けている。
福岡管区気象台によると、トカラ列島近海では2日に悪石島と小宝島で計2回の震度5弱を観測。6日には悪石島で震度5強が立て続けに2回起きた。
9日は、午後10時までに震度3〜1の計43回の有感地震があった。内訳は震度3が2回、震度2が13回、震度1が28回。