〈資料写真〉列をつくり備蓄米を受け取る客=6月14日午前9時、南さつま市加世田本町のピコ
2025年産早期米について、鹿児島県内の複数のJAが集荷時に農家に代金を仮払いする「概算金」の提示を農家へ始めたことが10日、分かった。1等米では、おおむね60キロ当たり2万7000円で、24年産(約1万9000円)と比べても8000円ほど高い水準となっている。
24年産早期米(コシヒカリ)の概算金は、23年比で約1.5倍と急騰していた。あるJAによると、25年産はJA県経済連の方針に沿って、全銘柄統一で増額提示した。昨夏からのコメ不足を受けて引き合いが強いことなどが主な要因とみられる。
概算金は、各JAとJA県経済連が協議し、正式決定後に生産者に提示する。県内でも今後、早期米について本格化する。普通期米は通常、秋ごろに提示している。
南種子町の5ヘクタールでコシヒカリを生産する男性(50)は「肥料や農業機械といったコストが上がり続ける中、増額提示はありがたい」と喜ぶ。数日後に収穫を控える同町の男性(69)は「生産者としても納得でき、再生産できる金額」と話した。
概算金の仕組みでは、農家がJAに販売の委託手数料を支払う。小泉進次郎農相は、農家の手取りを増やせるとして、JAに対し概算金を買い取り方式に改めるよう求めている。
■コメの概算金
JAグループがコメを集荷する際に、地域の農協を通じて生産者に支払う前払い金のこと。JA県本部などがコメの作付け状況や消費動向を踏まえて決め、地域の農協が手数料や流通経費などを差し引いて支払う。JAグループが高値で販売できれば追加分も払う。