これまでの群発地震とは違う――トカラ列島・十島村に20年以上巡回する医師の懸念 揺れ始めた先月も診療「普段の表情ではない」

2025/07/11 06:30
島民を診療する永井慎昌医師(左)=6月24日、十島村の悪石島診療所(鹿児島赤十字病院提供)
島民を診療する永井慎昌医師(左)=6月24日、十島村の悪石島診療所(鹿児島赤十字病院提供)
 鹿児島県トカラ列島での長引く群発地震を受け、十島村悪石島や小宝島からの島外避難が始まって、11日で1週間を迎えた。多くの島民が慣れない避難生活を続ける一方、地震の恐怖にさらされながら島に残る人たちもいる。鹿児島赤十字病院の永井慎昌医師(64)は2002年から月1回の巡回診療で、島民の健康を支えてきた。一日も早い地震の収束を願い、「これまでにない回数と大きさ。島民の抱える不安やストレスが心配だ」と心身のケアの必要性を訴える。

 今回の群発地震は先月21日に始まり、永井医師は24日に島を訪れた。滞在した25日朝までに震度4の揺れが2回、小さな揺れは断続的に起きた。過去発生した群発地震は2週間程度で収まることが多く、永井医師も深刻には受け止めていなかったという。

 しかし、定期受診のため診療所に訪れた患者や住民は違った。緊急地震速報の通知や深夜の揺れで眠れない日々が続き、ストレスがたまっている様子だった。

 今月4、6日には、島外に避難した住民の様子を報道の映像で確認。「普段の表情ではなく、ぐったりと疲れ果てていた」と話す。

 避難後も「島に残る人や家のことが気がかりで、不安な気持ちが続いているのでは」とおもんぱかる。「保健師による心身のケアが重要。ホテルにこもらず、住民同士で話したり、外に出て歩いたりしてみて」と助言する。

 次の巡回診療は29日の予定。「その時までには地震が収束し、住民と笑顔で話したい」と願った。

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