悪石島やすら浜港付近。地震の影響か、山肌があらわになった斜面が見える=9日午後1時5分、十島村悪石島
鹿児島県のトカラ列島近海を震源とする地震は14日も続き、午後10時までに震度1以上の有感地震を39回観測した。6月21日からの累計は2031回。震度4は4日続けて発生しており、専門家は「終息の判断は難しい」と指摘する。
13日は悪石島から新たに1人島外避難し、小宝島の15人を含めた避難者総数は65人となった。村は10日、震度4以上が5日間起きなければ希望者を帰島させるとの方針を示したが、11日以降震度4が連日発生し、帰島判断を延期している。
一連の地震では、最大規模だった2日のマグニチュード5.6の発生前後に宝島で約4センチの地殻変動を観測。鹿児島大学南西島弧地震火山観測所の中尾茂所長は「地震規模に見合わない急な変動。マグマなど流体の移動が関与している可能性がある」と解説する。
「本震や余震のある地震と比べ、群発地震は原因が不明な場合が多く、先が読めない」とも指摘。その上で「周辺の観測地点が少ない。海底での地震計調査などで震源をより空間的に特定できれば、原因に迫る材料になる」と述べた。
京都大学防災研究所の西村卓也教授(測地学)も「地下で大量のマグマが動き続けている可能性がある」と考える。一般的に、マグマの動きは地下の浅いところに移ると冷えて固まり終息するが、量が多いと動き続け長期化するという。
気象庁によると、13日は震度4を4回、14日は午後10時までに1回観測した。帰島判断について、西村教授は「地震活動は高いレベルを維持しており油断できない。島民の心身のケアも焦点で、地震に対する不安は個人差があるため、数値だけでは判断できない難しさがあるだろう」との見方を示した。