#参院選――動画は縦で短時間、ギャップ萌え…無党派層狙い、各陣営がSNS注力 時代進んでも「公示前が勝負」は変わらず

2025/07/18 06:15
候補者が握手する様子を動画で撮影する陣営スタッフ=11日、鹿児島市の山形屋前
候補者が握手する様子を動画で撮影する陣営スタッフ=11日、鹿児島市の山形屋前
 参院選の投開票まで、18日で残り2日となった。投票先を決めていない無党派層へ支持を拡大するため、各陣営は選挙活動などを撮影し、SNS(交流サイト)を使った情報発信に力を入れる。ショート動画、ライブ配信、人柄重視の発信-。若者を中心に有権者もSNSの投稿に注目する。

 11日、鹿児島市の山形屋前であった街頭活動。無所属新人の尾辻朋実さん(44)=立憲民主党推薦=が有権者と握手を交わす場面を陣営スタッフがスマートフォンで撮影していた。動画はSNSの後援会公式アカウントに投稿する。

 後援会副幹事長の高橋砂衣さん(43)は「SNSはこれまで選挙に関心がなかった層の獲得に向けたコミュニケーションツール」と話す。心がけているのは必ず縦向きに撮り、基本3分以内に編集すること。「若者にもスマホで気軽に見てほしい」と狙いを話す。若さや言葉の力強さが伝わるようアップで撮り、投稿文にハッシュタグ「#無所属」を付ける。

 「公示までに勝負は決まる」。参政党新人の牧野俊一さん(39)の陣営は4月から公示前日の7月2日まで牧野さんの演説やセミナーの様子をインスタグラムで約60本投稿。県連副会長の櫻木隆志さん(54)は「国政、地方選挙を経験し、選挙期間中は人手と時間が限られると分かっていたので力を入れた」と語る。

 選挙期間中は、ユーチューブで生中継も試みた。牧野さんが与論島で街頭演説する様子を配信すると、100人以上が視聴した。党員ではない熱心な「サポーター」も県内に数人いて、候補の演説を動画撮影し、自身のSNSアカウントに投稿。情報発信に一役買っているという。

 自民党元職の園田修光さん(68)=公明党推薦=の陣営は「自民党の男性候補」「近寄りがたい」といった従来抱かれがちだった政治家像と異なる側面の発信に力を入れる。

 陣営のインスタグラムでは応援に駆けつけた弁士との街頭演説の様子など真剣な表情が多い。一方、国会議員になる前から園田さんと関わる支援者が運営する別のアカウントは、孫の面倒を見る様子やスイカを頬張る姿を投稿。後援会の園田莉奈さん(37)は「柔らかい表情に的確なメッセージを付けてくれる。付き合いの長い支援者ならではの内容」と話す。有権者から「想像より優しそう」という声も寄せられるという。

 NHK党新人の山本貴平さん(50)は公示後3日目から、自宅がある東京を中心に選挙戦を続ける。SNSで党の他候補の支援に回る自身の活動や政見放送の日程を日々更新しながら、浸透を目指す。

 若者にとってSNS投稿は投票する際の身近な判断材料となっている。県立短期大1年の久保彩音さん(19)は「親とユーチューブを見る。さまざまな立場の人が選挙関連の投稿をしている中で、政治家本人の発信は信じられる」と考える。

 鹿児島市原良6丁目の会社員木原有希さん(28)は、各政党の政策やそのメリット・デメリットがまとめられた投稿を見たといい、「ニュースや演説より、分かりやすく手軽。選挙のハードルが下がる」と話した。

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