まさに誘致企業「中種子町は自衛隊応援団」――町挙げて馬毛島先遣隊を歓迎、期待は人口増「家族で赴任して」 反対派は抗議活動

2025/07/23 11:41
馬毛島先遣隊の勤務開始に抗議する基地反対の住民訴訟原告団=22日、中種子町野間
馬毛島先遣隊の勤務開始に抗議する基地反対の住民訴訟原告団=22日、中種子町野間
 航空自衛隊馬毛島先遣隊は、22日に予定していた鹿児島県西之表市馬毛島での勤務開始を23日以降に見送った。防衛省によると、天候不良や準備が整わなかった。基地計画の節目と見込まれたこの日、隊員宿舎がある中種子町からは地域振興に期待を寄せる声が上がる一方、反対派は「馬毛島に隊員を入れるな」と抗議した。

 中種子町役場には、「歓迎航空自衛隊馬毛島先遣隊」と記した看板が掲げられていた。町、商工会、農林水産業の団体ら官民一体で自衛隊誘致を進めてきた協議会も「中種子町は自衛隊の応援団」と歓迎するのぼりを立てた。

 町によると、隊員宿舎は約90室。町内約60集落のうち、90世帯を超えるのは5集落で、人口増に伴う地域活性化への期待は大きい。関係者によると、当初は単身世帯が多くなる見込み。町は2月に防衛省を訪れた際、「家族連れで赴任してほしい」と要望している。

 阿世知文秋副町長は「先遣隊が島の暮らしやすさを他の隊員に伝え、家族連れの赴任者が増えることを期待している」。同町の漁業男性(69)は「隊員は地元で買い物をしたり行事に参加したりして町民と交流してほしい」と望んだ。

 西之表市の隊員宿舎は建設予定地の地中から大量のごみが出土し、昨年11月から工事が中断している。同市鴨女町の無職男性(73)は「西之表に隊員は赴任できるのだろうか。状況が分からない」と話した。

 基地整備に絡む住民訴訟の原告団は22日、中種子町の先遣隊代替管理事務所前で「宝の島 馬毛島を守れ」「米軍FCLP(空母艦載機陸上離着陸訓練)反対」とシュプレヒコールを上げた。弁護団事務局長の塚本和也弁護士(37)は、問い合わせるまで延期を明らかにしなかったとして「防衛省は情報公開の姿勢を欠いている。『住民の理解を得たい』と言いながら、真逆の対応だ」と批判した。

 原告団は馬毛島の葉山港にも上陸し、防衛省職員に抗議した。西之表市の漁師浜田純男さん(70)は「お金を盾に、何でもどうにでもできるのだという防衛省のやり方に怒りがこみ上げる」と憤った。

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